About our store
住所
〒870-0013
大分市浜町東4組
営業時間
9時〜18時
定休日
不定休
問合せ
09013452357


7月7日。毎年この日に訪れる温泉がある。大分市内。それも、中心部から車で10分少々。市街地の喧騒からふっと外れた住宅街に、静かなる異空間がひっそりと佇んでいる。それが、「天然温泉 天の川」
営業時間は、朝9時から翌2時まで。仕事帰りの深夜にも寄れるし、休日の朝一番からでも入れる。つまり、現代の生活リズムに自然と寄り添うように設計された生活圏温泉。だが、この温泉の真骨頂は、やはり朝にある。
開け放たれた浴室、視界はすべて茶一色。壁、床、浴槽の縁……湯が当たるあらゆる箇所が、温泉成分で染まっている。これを汚れと呼ぶ者は、理解が浅い。これは鉱物の刻印。湯の力が強すぎて、泉質そのものが刻んだ色だ。お湯はしょっぱく、金属と土の香りがほのかに混じる地球の味。
湯船に腰掛けると、目線と水面のラインが一致する。生まれるのは水平線。これは偶然とは思えない。意図的に湯との一体化ラインが設計されているのではないか。

茶褐色の湯が、底をやさしく濁らせる。手を入れると、とろりとしたぬめり。肌に吸いついてくるような柔らかさ。これがただの湯であるはずがない。泉質は、ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉。源泉は南大分第1号・第2号の2本から直接引かれ、遊離炭酸450mg/L超。さらに、メタけい酸・メタほう酸・鉄分・ミネラルまで全部入り。まるで地球深部の温泉スムージー。本物の生きた湯が、浴槽のすみずみに行き渡っている。
サウナは、日本式ドライサウナの王道ともいえる、昭和ストロングスタイルの遠赤外線タイプ。湿度は低く、熱圧がストレートに身体を撃ち抜いてくる。遠赤外線は皮下数センチまで届く波長をもち、芯から温まる「深部加温」を叶える。それでいて汗はサラサラ。蒸しではなく焼かれるような発汗。
サウナから出れば、極上の水風呂が待っている。透き通るような透明度。冷たさは、時に狂気の領域すら覗かせる。公式には14〜16℃とされているが、日によっては12℃台に感じることもある。一方で19℃前後のぬるさが漂う日もあり、体調や天気に合わせてととのい速度が調整できる。この振れ幅すら、天の川の生きた水の証なのだ。
からの外気浴。いや、これはもう、光浴。これこそが天の川に朝くるべき理由。この時間のみ発動する、露天の湯に光が差し込む瞬間。身体が温泉の熱を保ったまま、太陽と向き合う。肌が光を飲み込み、内から湯気を吐き出していく。朝日を浴びながら常連がつぶやいた「この時間が、わしのビタミンCやけん」。よく意味が分からないが、的を得てる気もしないでもない。
夜になると、天井には照明ではなく、リアルな星空が広がる。露天の縁に肘をかけながら、見上げる夜空。そこには確かに、リアル天の川がある。
1回行ったら「また来よう」と思う。2回行ったら「もうここだけでいい」となる。3回行ったら「この時間が、わしのビタミンCやけん」
都市の片隅に現れる、整い銀河。
星、5つ。
